内田彩(声優)

%e5%9d%82%e6%9c%ac%e9%be%8d%e4%b8%80%e3%82%a2%e3%83%bc%e5%86%99

 

2017年4月各社ハイレゾ推薦作品

声の広がりというか、息の吐き方とかがすごく綺麗

_8104050

──内田さんが子どものころよく聴いた音楽アルバムってなんですか?

内田彩(以下:内田) : 母が色々聴かせてくれていたんですよ。ZARDとかB’zとか玉置浩二さんとか、母が好きだったアーティストのCDセレクションを車とかでいつも聴いてました。あとは、安室奈美恵さんとかSPEEDとかが流行っていたので、母と一緒にレンタル屋さんに行ってCDを借りてもらって、カセットなりMDなりにダビングして聴いて、一緒に歌ったり、学校の友達と一緒に踊ったりとかしていました。

──最近、すごく聴いたっていうアルバムはあります?

内田 : 昔のアニメのオープニングとか、テーマソングとかをiTunesで買って、「あー、懐かしい!」と思いながら聴いてることが多いです。最近は、「スラムダンク」のコンピレーションアルバムを買って「懐かしい!」と思いながら聴いています。以前にテレビから流れてきたものを聴いていたのが、今ダウンロードで手軽に聴けるのはいいなあ、と。

──なるほど、ダウンロードで買うんですね。内田さんの視聴環境って? たとえばCDをかけて、家でステレオで聴くとか、ポータブルプレイヤーで聴くとか、iPhoneで聴くとか、色々あると思いますけど。

内田 : 家にあまりちゃんとした設備がないので、iPhoneに取り込んで移動中にイヤホンで聴くことが多いですね。最近、iTunesを使うようになりました。やっぱり資料用とか、自分の携わった作品のオープニングを買ったりだとか、そういうことが多いですね。1曲ずつ買えるのは便利だなあと思います。私は音楽を聴くには聴きますけど、専門的ではなくてすごく一般的な感覚で聴いていることが多いと思います。

──ところで、去年の武道館ライヴは、内田さんにとってどんなライヴでしたか?

内田 : 武道館は個人的にライヴを観に行ったりしていた場所だったので、自分がステージに立つというのが信じられなかったです。直前とかもすごくドタバタしていて、会場を見て回ったりとかもできなくて。自分がお客さんで行くと外から見て、色んなお客さんが来ていて、バーンと看板があって「武道館に来たぞ」ってなるんですけど、実際出る側だと普通に車で会場入りしてリハーサルして中にずっといるので、お客さんとして見ていた世界が見られなかったのは、ちょっと残念でした(笑)。

──でもやっぱり、やりきったという感じがあったのでは?

内田 : ありましたね。もともと声優をやりたくてずっとやっていて歌手になりたいと思ってはいなかったので、自分の夢の人生プランみたいな中に、「武道館でソロで歌う」っていうのは入っていなかったんですね。でもなかなか押さえられない会場なのに、やれることになったので、もうすごくびっくりしたし、普通に生きていたらたどりつけないところに立たせてもらうことに良いご縁を感じていて。それを実現してくださったスタッフさんとの間にもすごく良い空気を作れました。だから、やっとつかんだというよりは、偶然出会えたっていう感じですね、私の中では。でも偶然出会えたからこそ、恥ずかしくないものをやりたくて。武道館って、すごい場所じゃないですか? 周りの音楽関係の友達とかにそれを話したりすると、「今、声優さんすごいよね」とか「アニメの曲すごい売れていいな」みたいに言われることもあって(笑)。でも、それだから人が来て埋まったね、みたいに言われるのが嫌だったので、「誰が見ても武道館に立てるくらいの良いライヴをしたんだね。たまたま立ったわけじゃないんだね」っていう風に思ってもらいたくて、すごく頑張って中身を作りこんだんです。34曲持ち曲があったんですけど、「全部歌う!」って決めて。その時の私にできるものは、そこで全部出したかな。今考えると、よく34曲もやったなって思います。途中で力尽きるか、声が出なくなるか、エンジンきれるかって思ってたんですけど。ほぼ休憩とかもなかったので、早着替え1分2分ぐらいの間だけ休憩させてもらって。でも、すごく楽しかったです。

_8104050

■試聴■
●試聴順(1巡目)
1. Hiroko Williams「Like A Lover」
3. アンドレア・モティス「I Didn’t Tell Them Why」
3. チック・コリアの「サムタイム・アゴー~ラ・フィエスタ」(7分17秒~)
4. Santana「ブラック・マジック・ウーマン」
5. 岸田教団&THE 明星ロケッツ「LIVE MY LIFE」
6. 竹原ピストル「ただ己が影を真似て」

──では今から、1曲ずつ順番に6曲聴いてもらいます。1曲目はHiroko Williams『MY ROOM side1』(192kHz/24bit)から「Like A Lover」。

内田 : 普通の音源で聴いたのとはやっぱり全然違って、破裂音とかが伝わってきました。日本語じゃない英語だから、普段自分が使わないような言葉の操り方がすごい。声の広がりというか、息の吐き方とかがすごく綺麗。こういう曲をハイレゾで聴くのがいいんですね。この方の声、とても良いですね!

──2曲目は、アンドレア・モティス『Emotional Dance』(96kHz/24bit)から「I Didn’t Tell Them Why」です。あんまりこういう音楽は聴かないですか?

内田 : 自分でこれを選んで聴くっていうのは無いんですけど、好きです。なんか、本当に音楽の知識がなさ過ぎてこの楽器が何の楽器なのかわからないんですけど、低いところの「ドゥーン、ドゥーン」みたいな。

──ベースかな。

内田 : ベースか! そういうのが全然わからなくて。でも色んな音がするから、すごく楽しかったなあ。こういうのもいいですね。ちゃんと聴いたらこういう風に聴こえるんだって。トランペットの細かい息とか、そんなところまで聴こえるんだな、と。

──ジャズとかボサノバとかなので、あんまり馴染みはないかもしれないですけど、こういうサウンドは、ハイレゾで聴くと気持ち良かったりしますね。では3曲目はチック・コリア『リターン・トゥ・フォーエヴァー』(DSD2.8MHz)から「サムタイム・アゴー~ラ・フィエスタ」という23分くらいある曲の7分17秒くらいからどうぞ。

内田 : うーん! 全然違うんですね! なんでしょうね、色んな楽器がある感じがして。一個一個の音がすごい。なんだろう、物語を感じましたね。音で作っていくというか、誘われているような、曲の中に自分がそこにいる感じがして楽しくなりました。曲を聴いているというよりも、楽器の一個一個が登場人物になってるみたいな。歩いていったら、次こっちかな、みたいに、すごく曲に誘われている感じがしました。

──次はSantana『ロータスの伝説 (完全版)』(DSD2.8MHz)』から「ブラック・マジック・ウーマン」。これは多分、データ量としては1番大きいです。

内田 : これはライヴの音なんですか?

──ライヴ音源です。ギターの主張が激しかったじゃないですか?  バンドリーダーのカルロス・サンタナさん自体、ギターの人なので。

内田 : へ~!そうなんだ、ライヴ音源なんだ。「ピギィィー」って鳴ってたのもライヴだからですか?

──そうです、ギターのハウリングですね。

内田 : そういうのも綺麗に入ってるんだ。ライヴ音源もこういう風に聴けるんですね。

──続いて、岸田教団&THE 明星ロケッツ『LIVE YOUR LIFE』(96kHz/24bit)から「LIVE MY LIFE」です。ご存知ですか?

内田 : お名前は見たことあります。聴く前はボーカルの方の声をすごく聴こうと思ってたんですけど、「あ、声って曲のバランスの一個なんだな」って思いました。普段やっぱり声が良いなって思って聴いちゃうことが多いんですけど、これはあんまりボーカルだけに耳が行かなかったですね。やっぱりちゃんとした音響機材で良い音で聴くと、「あ、私こんなにベースの音を聴いているの初めてだ」みたいな、やっぱりいいんだな~って思いました。

──最後は、竹原ピストル『PEACE OUT』(96kHz/24bit)から「ただ己が影を真似て」です。

内田 : 私が主演していたアニメ(『けものフレンズ』)の主題歌を歌う、どうぶつビスケッツ×PPPがミュージックステーションに出演していて見てたんですよ。そしたらちょうど、竹原ピストルさんが出ていました。なんか声がすごく素敵だからそこをすごく聴いちゃうんですけど、やっぱりこの竹原さんの声のかすれてるところとか、歌詞の意味とか声や歌のニュアンスとかが伝わってきて、優しさを感じました。

──では、ここからはそれぞれのアルバムから別の曲を1曲ずつ聴いてもらって、1枚大賞を選んでもらいます。

_8104050

●試聴順(2巡目)
1. Hiroko Williams「Again」
2. アンドレア・モティス「Youd Be So Nice To Come Home To」
3. チック・コリアの「サムタイム・アゴー~ラ・フィエスタ」(19分10秒~)
4. Santana「君に捧げるサンバ」
5. 岸田教団&THE 明星ロケッツ「GATA~それは暁のように~」
6. 竹原ピストル「FOREVER YOUNG」

──では、一番良かった作品、4月度のハイレゾ音源大賞を教えてください。

内田 : え、え~~~~~~!(頭を抱えて)でも、“私が選ぶなら”で良いんですよね?

──もちろんです。

内田 : じゃあ、Hiroko Williamsさんの『MY ROOM side1』です! 今の私に聴いて欲しいな、と。

──これが1番気に入ったっていうことですね。

内田 : はい、そうです。

──この6枚で無人島に1枚しか持っていけないとしたらこれを選ぶってことですよね?

内田彩 : え~! 違う!

──無人島は違うんですか(笑)。

内田彩 : この6枚の中で無人島に持っていくなら、チック・コリア『リターン・トゥ・フォーエヴァー』(DSD2.8MHz)とSantana『ロータスの伝説 (完全版)』(DSD2.8MHz)。特にこっちチック・コリア『リターン・トゥ・フォーエヴァー』(DSD2.8MHz)。

──なるほど、新しい賞ができましたね。了解です。ではライヴ前に聴きたいのだったらなんですか?

内田 : ライヴ前に聴きたいのは、岸田教団&THE 明星ロケッツ『LIVE YOUR LIFE』。1人で人生に悩んだら絶対これ!(竹原ピストル『PEACE OUT』)。1人で、家で聴きたい。やっぱり竹原ピストルさんの「FOREVER YOUNG」を聴くと、言葉と竹原さんの声で語りかけてくるパワーがめっちゃ強くて、「あ、優しい」ってなりました。そういうちょっとした声のニュアンスもハイレゾで聴いたほうがいいんだろうなって。

_8104050

──アンドレア・モティスさんの『Emotional Dance』(96kHz/24bit)は?

内田 : これはすごいピアノとベースが素敵だったので、夜とかに帰りながら聴きたい。なんかおしゃべりしたり、お酒飲みたくなりますね。「お酒と合うで賞」です。

──ではなぜHiroko Williamsを大賞に選んだのでしょうか。

内田 : Hiroko Williamsさんの声と歌う時の表情みたいなのがすごいハイレゾで聴きたいと思いました。やっぱり声で喋る仕事をしているので、自分で歌って録音したときの声とかすごい気になるんですけど、日本語と使ってる言語が違うから、すごく興味深くて。こんなに「わっ!」って出したり「ツッ」て声を出したり、やっぱり日本語とは違う口周りで表現する情報量がすごいし、それを英語の発音のHiroko Williamsさんが歌っているっていうのが、すごく良かったんです。多分、ハイレゾでこういう視聴環境で聴かないと消えちゃうような、ちっちゃい「D」の音、「ヅッ」とか、ちっちゃい「ツッ」みたいなところもすごく聴こえたので、声に注目して1番聴きたくなりました。

──なるほど、ありがとうございます。声優さんならではの、わかりやすい説得力のある意見だと思います。今日はハイレゾを聴いてみて、いかがでしたか?

内田 : やっぱり私がiPhoneでパッと聴いているのが全てじゃないんだなとすごい説得力で思い知らされました。そう思ったら自分がやってることもちゃんと良い音で聴いてもらったら、より伝わるんだなとわかりました。Hiroko Williamsさんのアルバムも、軽いデータとかで聴いたら、こんな感動は得られないんだろうなって。

(Interview by 飯田仁一郎 / Photo by 大橋祐希)

_8104050

プロフィール

内田彩

7月23日生まれ O型
アクロスエンタテインメント所属 声優

内田彩オフィシャル・サイト
https://aya-uchida.net/