グランジ遠山

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2017年11月各社ハイレゾ推薦作品

ハイレゾ音源じゃないとここまで見えなかったと思うし、全部の音がはっきり聴こえました

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──遠山さんは、普段どんな環境で音楽を聴くことが多いのでしょうか。

遠山 : 今は9割方iPodクラシックです。あとの1割は家のコンポでCDを再生して聴いてます。

──今回、改めてハイレゾ音源を聴いてみてどんな印象でした?

遠山 : 音が良いってこういうことなのかっていうことを、まざまざと見せつけられた感じでした。僕はそこまで音にこだわったことがなくて。でも、ちょうど1年くらい前にビートルズを改めて聴いていて「Tomorrow Never Knows」を聴いたときに「これ、iPodで聴いていいのかな?」って思ったんです。当時の人たちの感動とかをちゃんと自分も味わわなければいけないなと思ったんですよ。そこからアナログ盤を見つけたら買うようにしていて、ビートルズとかRCサクセションとか、当時レコードで聴いたら良いであろうと自分が思ったアルバムをLPで買っていて。ちゃんと良い音の聴き方をしたいなってずっと思っていた中での今回の『ハイレゾ音源大賞』さんからの依頼だったので、より響きました。

──なるほど。遠山さんの好きなジャンルとか音楽の原体験ってどんなものなんですか?

遠山 : 父親がファンクとかモータウンが好きで車の中でジェームス・ブラウンとかマイケル・ジャクソンの『Off The Wall』がめっちゃかかってて、小さい頃からずっとそれが刷り込まれていたんです。それから小4のときに、母親がマイケルが横浜スタジアムでやった「Bad World Tour」のビデオをずっと流しているのを聴いて「これって小さい頃に車で流れてたやつだ」って思って、マイケル・ジャクソンに興味が湧いて。その後、中1で初めて買ったCDが米米CLUBの「浪漫飛行」で。どういうライヴをやってるのか興味が出て映像を観たら「浪漫飛行」とか一切やってなくてゴリゴリのファンク、ソウル・ミュージックをベースとした音楽をやっていることを知って。「あれ? これってジェームス・ブラウンだよな!?」って、小さい頃聴いたものがそこで繋がって。それが音楽を好きになった最初のきっかけですね。それから中2のときにユニコーンを知って高2年でミッシェルを聴いてガレージとかも聴くようになって。フジロックでケミカル・ブラザーズを観てからは電子的な音楽も聴くようになりました。最近はアーケイド・ファイアとかLCDサウンドシステムとか、カルヴィン・ハリスを聴いてます。あと、ベックの新譜も買いました。基本的にはやっぱりロック好きですね。

──では11月度のノミネート作品の感想を順番に教えてください。まずはビョーク『ユートピア』からお願いします。

遠山 : 今年は観れなかったんですけど、ビョークはフジロックで2回観ていて。ライヴを観ていると「人類誕生おめでとう祭り」みたいな感じで(笑)。「この地球に生命が宿ったことを祝いましょう」みたいな。ビョークっていったい何者なんだろう? っていう、そういう存在だとリスペクトしています。昔はまだ、“ドンツクドンツク”ってやってる曲もあるけど今回のアルバムは曲っていう感じもなかったですね。「これ本当に声なのかな?」とか思ったり。虫とかも鳴いてますけど、この虫もどうやってるのかなって。ビョークだったら虫を本当に捕まえるか、なんなら目が合った瞬間に虫の方からついてくるんだろうなとか(笑)。

──そんなわけないですよね(笑)。

遠山 : それぐらい言っても言い過ぎじゃなくないですか(笑)? 「The Gate」の最後の方のシンセか何かのよくわからない音も、ビョークがパッとそこを見たら何もない地面から花が咲いたような、そんな力を持っている音だなって思いました。これはハイレゾで聴くことでよりバキっとして良いんだろうなって。

──では次は中森明菜『明菜』です。

遠山 : 1曲目の『メリークリスマス -雪の雫-』。最初、ストリングスが豪華な音で。でもなかなか歌いださないじゃないですか? 1分39秒くらいでやっと歌い出すんですけど、そこはさすが日本のビョークということで(笑)、明菜さんの声って一撃でわかりますよね。豪勢なストリングスに負けない第一声だと思いました。真打登場っていうか、堂々たる作品だなって。

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──続いて、マルーン5『Red Pill Blues(Deluxe)』はどうでしたか。

遠山 : これはiPodにも入れていて、聴き比べてみたんですけど、iPodの方は最後の音が霧みたいな感じになっていくイメージだったのがハイレゾの方はちゃんと最後まで一音一音が完結しているなって感じました。細かく聴くと、ハイレゾの方がより実態がわかるなって思いました。それが情報量の違いなのかなって思いましたね。

──次はキヲク座『色あはせ』です。

遠山 : キヲク座は初めて知ったんですけど、一番衝撃を受けました。「こんなことをやっている人たちがいるんだ」って。「線路は続くよどこまでも」とか、めちゃくちゃカッコよかったです。「待ちぼうけ」とか誰もが知ってる童謡ですけど、でも聴いたら全然知らない「待ちぼうけ」で。なんとなく曲に沿った演奏なのかなって思ったら、一回ぶっ壊してそれを組み立ててる感じで面白かったです。久しぶりに童謡を聴く機会だったので楽しみにして聴いてみたら、全然違う角度から飛び込んできたんで面白かったですね。ポストロックと童謡を合わせるととっつきやすくなるんだなって。

──桑原あい/石若 駿『Dear Family』はいかがでしたか。

遠山 : ヘッドフォンで聴いてたら「そこにいる2人」っていう感じがしました。ライヴ会場の客席の後ろのど真ん中で観ている感じで。それがハイレゾのすごいところなんだろうなって。目を瞑って電気を消して聴いてみたんですけど、本当に会場で聴いているような感じでした。それで思ったんですけど、ハイレゾ音源って外で聴いちゃ駄目だなって。移動中に聴きたい気持ちはわかりますけど、景色とか余分な情報を入れずに音の情報だけを入れた方が、より鮮明に聴こえてくるなって思うんです。もともと昔の人たちはスピーカーの前で聴いてたりしていたと思うので、それが正しい音楽の聴き方なのかなって思わせてもらった作品でした。

──続いて、菊地成孔『オリジナル・サウンドトラック「機動戦士ガンダム サンダーボルト」2』です。

遠山 : もう、ビックリしました。曲を聴いているというよりも、演奏の中にいさせてもらってるなって。目の前でドラムを叩いていて、俺はそこに正座して聴いてる感じでしたね。最初はちゃんと規律があってキビキビ行進してたところに隊列が乱れていって、そこにまた規律正しいオーケストラチームが来るんだけど、もともと規律を正していたドラムがどんどん崩れていって。どっちも正しいしどっちも正しくないみたいな、混沌としているところが最高でした。ヘッドフォンで聴いてたら、タムの音がこの辺から聴こえて、クラッシュシンバルも斜め上から聴こえてくる気がして。耳だけで聴いてるんですけど、ちゃんと奥にも斜めにも音があるっていうところに圧倒されてビビりました。すごかったで す。

──最後はXAI『WHITE OUT』です。

遠山 : 菊池さんや桑原さんたちの作品は、「そこにいる」っていう感じだったんですけど、XAIさんの作品は、一気に底辺が広がった感じがして、両サイドに広がっている気がしました。そういう音作りをしているのかなって。それと、僕はドラムが好きなんですよ。プロデュースが中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)さんということもあると思うんですけど、強い音だけど丸いところもあって、でも輪郭もはっきりしていて。すごく心地良かったです。

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──では、この中から2017年11月度のハイレゾ音源大賞を選んでください!

遠山 : 菊地成孔『オリジナル・サウンドトラック「機動戦士ガンダム サンダーボルト」2』です! 他の6作品もめちゃめちゃカッコよかったんですけど、菊池さんの作品が曲を聴いていて一番ビックリしたんですよね。曲の構成とかも。自分もお笑い芸人でネタを書く側で、一応モノ作りの一端を担わせて頂いているので、やっぱり「こうやったらお客さんには伝わらないな」とか色々考えてしまうんです。でもこの作品はそういうものを全部超えてきている気がしました。そんなことよりも、「これが良い」と思っているからやっているというか。それはハイレゾ音源じゃないとここまで見えなかったと思うし、全部の音がはっきり聴こえました。

──菊地成孔さんって、レコーディングをするときも1回しか吹かないで「おつかれさまでした」って帰っていくっていいますからね。それくらい自分のサックスの実力と感覚を信じてる方なんだなって。

遠山 : へえ〜! そうなんですね。このアルバムって、文字に起こしたとしたら何を書いているかわからないくらい途中グシャグシャッてなっていると思うんですけど、でも聴こえ方は全くそんな感じがしないし、「どういうシステムで成り立ってるんだろう?」っていう驚きしかなかったです。

インタヴュー / 飯田仁一郎
Photo / 大橋祐希

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プロフィール

グランジ遠山大輔

よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。
「グランジ」というトリオで突っ込みを担当。
新宿ルミネtheよしもと、よしもと幕張イオンモール劇場に出演中。
TOKYO FM「SCHOOL OF LOCK!」にて「とーやま校長」として2010年から出演中。

遠山大輔オフィシャル・ブログ
https://ameblo.jp/tohyamadaisuke510